この記事では主にAM4からAM5に移行する方向けの解説を行います。
マザーボードのCPUを載せる部分であるCPUソケット。
AMD社が展開するCPUブランドである「Ryzen」の最新ソケットがAM5です。

AM5に移行すると、CPU以外の環境も一変するぞい!
AM5に移行しよう!メリットと注意点は?
まずはAM4からAM5へ移行するメリットと注意点を見ていきましょう。
メリット
AM4からAM5へ移行するメリットは大きいです。
最新規格に対応しているため、パーツ選びの選択肢が広がり続けます。
注意点
注意点もあります。
まず移行するにあたって、
- AM4のCPU
- AM4のマザーボード
- DDR4メモリ
は流用できません。
そしてcpuクーラーは基本的に流用できますが、モノによってはできないものもあります。
流用可能なパーツに触れたあと流用できないパーツをそれぞれ解説していきます。
GPU・ストレージ・電源ユニット・PCケースは流用可
まずAM4からAM5に移行するにあたって、GPU・ストレージ・電源ユニット・PCケースは流用できます。
AM5はPCIe 5.0に対応しているという特徴がありますが、従来のPCIe 4.0以前のパーツ(主にGPUとストレージ)も引き続き対応しています。
もちろん拡張カードや、マウスキーボードといったUSBデバイス、モニターもそのまま使えます。

図にまとめてみました。AM5への移行をパーツ交換だけで済ませるなら、これらは特に買い替える必要はありません。
CPUクーラーは「基本的に」流用可
AM5はAM4用CPUクーラーと一定の互換性があります。
一例として、定番だった「SCYTHE 虎徹 MarkⅡ」はAM5マザーボードでもそのまま使えます。
基本的に流用できますが、流用できない製品も一部存在します。
一例として、定番だった「DeepCool ASSASSIN III」はAM5マザーボードでそのまま使えません。(製造時期によってはAM5対応リテンションキットが同梱されています)
AM5マザーボード対応かどうかを、以下のリンクから確認しておきましょう。
CPUは流用できない
互換性無し
CPUはAM4とAM5で互換性がありません。
AM5に移行するにあたって、AM5のCPUを用意する必要があります。
このAM5 CPUに乗り換えると安心

Ryzenの7000番台以降がAM5です。
国内で一般販売されている定番モデルの中から、予算・用途別におすすめCPUをまとめました。以下をクリックして詳細をご覧ください。
いずれも一般販売されているものの中では最低グレードに位置付けられます。
最低グレードながら、基本的な事務作業ならオーバースペック、ゲーム(フルHD・60FPS)ならGPUがボトルネックになるレベルの高性能です。
Ryzen 5 7600は内臓GPUを搭載しています。ゲームは厳しいですが、普段使いや事務作業程度なら外付けGPUを用意しなくても大丈夫です。
Ryzen 5 8400Fに関しては内臓GPUを省いているため、非常に安価です。
低予算ながら魅力的な選択肢ということでセレクトしました。
「X3D」の定番モデルを上位グレードから順にピックアップしました。
末尾「X3D」は通常の数倍ものL3キャッシュを搭載しているモデルです。
L3キャッシュはゲーム性能に関わります。特に、高リフレッシュレートや、4K画質でのゲームプレイに大きな恩恵があります。
より予算をかけてでもゲーム性能を高めたい方におすすめです。
「X」のコスパが高い定番モデルをピックアップしました。
最上位である末尾「X3D」はゲーム性能は高いですが、「画像・動画編集」「モデリング」「ゲーム作成」といったクリエイティブ用途にはオーバースペックです。
また、高リフレッシュレートや4K画質を必要としないゲームプレイでもオーバースペックになることがあります。
その場合は末尾「X」のCPUをおすすめします。「X」は高性能を指向したモデルですが、「X3D」よりは低価格です。
クリエイターやライトゲーマーで、コスパの高い高性能モデルが欲しい方におすすめです。
CPU取り付けの際の注意点
AM5はCPUではなくマザーボード側にピンがあります。
取付時にCPU側のピン折れを心配する必要は無くなりましたが、それでもCPU側の端子には手を触れないようにして、丁寧に取り扱いましょう。
マザーボードは流用できない
互換性無し
マザーボードはAM4とAM5で互換性がありません。
AM5に移行するにあたって、AM5のマザーボードを用意する必要があります。
AM5マザーボードの選び方
AM5マザーボードにも様々な種類があります。
マザーボードを選ぶ際は「チップセット」を見て選びましょう。
どのメーカーの製品でも共通して「B650」「X870」といった表記があり、それがチップセットの名前です。
チップセットによって、
- 最新GPUや最新SSDをフル活用するために必要なPCIe 5.0スロットの有無や数
- スペックの高いUSBポートの有無や数
- オーバークロック(=CPUやメモリの性能をより引き出す)機能の有無
といった性能がある程度決まります。
それぞれのチップセットの性能の違いはAMD社の専用ページで非常に分かりやすく解説されています。一度確認しましょう。

メーカーごとの違いは、
- 電源回路
- オーディオ
- 各種端子
- 有線lan・Wi-Fi
といった部分の有無・性能・耐久性に現れます。
このAM5マザーボードに乗り換えると安心
国内で一般販売されている定番モデルの中から、予算・用途別におすすめマザーボードをまとめました。以下をクリックして詳細をご覧ください。
ASUSは台湾の企業でマザーボードの定番メーカーです。国内でのサポートが充実しているため、安心して使えます。
A620チップセットのマザーボードは
- オーバークロック機能に対応していない
- PCIe 5.0に対応していない
- 非常に価格が安い
という特徴があります。
PCIe 5.0非対応ですが、PCIe 4.0のSSDであっても十分な性能があるので、そこまで高スペックを求めない方であれば全く問題ありません。
そんなA620チップセットを搭載した「ASUS/PRIME A620M-K-CSM」はとにかく安さを求める方には魅力的な選択肢です。
B650チップセットは先ほどのA620の一つ上のグレードです。
- オーバークロック機能に対応
- メーカーの裁量でPCIe 5.0のSSDに対応可能
- それなりに価格が安い
という特徴があります。
B650チップセットを搭載した「ASUS TUF GAMING B650M-E」はM.2スロットの一つがPCIe 5.0のSSDに対応しています。
PCIe 5.0のSSDを搭載することで、動画編集等の大きなファイルを取り扱う作業の際に大きな恩恵を受けられます。(ゲームのロード時間も数秒縮まります。)
そんな「ASUS TUF GAMING B650M-E」は少し上のレベルを求める方におすすめの選択肢です。
※Amazon版はWifi非対応の代わりに少し安いモデルです。
MSIは台湾の企業でマザーボードの定番メーカーです。ASUSよりコスパが高い傾向にあるメーカーです。
X870チップセットは現状、最上位から2番目のグレードです。
- オーバークロック機能に対応
- PCIe 5.0のSSDに対応
- PCIe 5.0のGPUに対応(恩恵はさほどありません)
- USB 4.0が標準搭載されている
という特徴があります。最上位に近いグレードなので、ほぼフルスペックですね。
そんなX870チップセットを搭載した「MSI MAG X870 TOMAHAWK WIFI」はメーカー側の配慮も凄まじく、USBポートが12個もあり、Wi-Fi 7、5GbE有線LAN、Bluetooth 5.4に対応しています。
予算に余裕があれば、「MSI MAG X870 TOMAHAWK WIFI」は非常に有力な選択肢の一つです。
DDR4メモリは流用できない
互換性無し
メモリはAM4とAM5で互換性がありません。
AM4でお馴染みだったDDR4メモリは挿し込むことすらできません。
AM5に移行するにあたって、DDR5メモリを用意する必要があります。
DDR5メモリの選び方
メモリは容量と周波数が重要です。
容量はよくデスクの広さに喩えられます。
多ければ多いほど同時に作業できる数が増えます。逆に少なすぎると、一つの作業すらまともにこなせません。
最低限でも16GB、できれば32GB以上を選びましょう。
周波数(メモリークロック)は数字が大きいほど性能が高いですが、安定した動作も重要です。
性能と安定のバランスがとれる4800~5600MHzのものを選びましょう。
32GBなら、16GB×2枚で販売されているものを選びましょう。
2枚挿し込むとデュアルチャネルとなり、性能が上がります。
また1枚を後から2枚に増設することは実は難しいです。
周波数、容量、モデルまで一緒の2枚でデュアルチャネルを構成するのが望ましい上、同じモデルでも製造時期によって仕様が異なる場合があるためです。
メモリは2枚セットを買いましょう。
このDDR5メモリに乗り換えると安心
DDR5メモリはより多くの予算をかけても差を実感しづらいパーツです。
容量や周波数といった重要な部分さえ押さえていれば、定番メーカーの中で最も安価なものを選んでも、最大限のパフォーマンスを得られます。
CFD販売は日本企業で定番のメモリブランドです。
製造自体は他企業が行っていますが、日本のブランドだけあってサポートが充実しています。
パーツ相性が合わなかった場合に返品できる相性保証、そしてなんと永久保証が付属します。
こちらのモデルは性能と安定のバランスがとれる5600MHzの周波数、だいたいの作業に耐えられる32GBの容量、安心してデュアルチャネルが組める2枚セットです。
加えて価格も安く、迷ったらコレの定番モデルです。
32GB(16×2枚)はこちら
予算に余裕があるなら64GB(32×2枚)も検討してみてはいかがでしょうか。
より上位モデルのメモリはヒートシンク(放熱板)を搭載しています。
ヒートシンクは普通に使う分には耐久性や安定性に影響を及ぼすほどの放熱効果はありません。
放熱ならエアフローの改善が第一です。
しかしオーバークロック時や極限環境時での安定性向上を求める方、また基盤を隠したり光ったりするようなデザイン性を求める方であれば、追加コストをかける価値はあるかもしれません。

ピカピカするとかっこいいぞい(安直)
新しく対応するPCIe 5.0はそこそこにすごい
PCIe 5.0とは
PCIe(PCI Express)はマザーボード内の通信規格です。
主にGPU・NVMe SSD・拡張カードと、CPU・チップセットの間の通信に使用されます。
バージョンが上がるほど高速になります。
AM5ではPCIe 5.0に対応しますが、引き続きPCIe 4.0のパーツも使えます。
PCIe 5.0はGPUにはほぼ恩恵なし
GPUは最新ハイエンドであってもPCIe 5.0の恩恵がほぼありません。
PCIe 4.0どころかPCIe 3.0(PCIe 3.0×16)で十分な性能を引き出せるのが現状のGPUです。
よほどの環境の変化がない限り、将来的にもその状況は変わらないと筆者は見ています。
PCIe 5.0のSSDはすごいけど人を選ぶ
PCIe 5.0の恩恵を大きく受けるのはSSDです。
規格ごとの最大速度を表にまとめてみました。
SSD規格 | 最大速度 |
---|---|
PCIe 3.0 | 約 3.9 GB/s |
PCIe 4.0 | 約 7.8 GB/s |
PCIe 5.0 | 約 15.7 GB/s |
SSDはPCIe規格のバージョンアップが、性能向上に直結します。
高価格ですが、スペックの高い製品と適切な環境を揃えれば、規格上の最大速度(15.7 GB/s)に近い読み出し速度を得ることが可能です。
しかしほとんどの方にとっては、PCIe 4.0でも十分な速度があります。
PCIe 5.0による速度向上を実感できるのは以下の場面です。
- 数秒でもゲームのロード時間を短縮したい場合
- 8K映像の編集やVFX制作
- 大規模な学習データを扱うAIの開発・実行
- 数百GB級のデータを扱うクリエイティブ作業
特に連続読み書きが数GB/s単位で長時間続くようなプロ用途で、作業効率に直接つながる恩恵を受けられます。
ゲームのロードに関してはデータ読み込みではなくデータ処理の時間が大半を占めます。 そのためPCIe 4.0と比べても劇的な時間短縮は見込めませんが、それでも大きなゲームでは数秒の差が生じます。
紹介した場面以外での一般的な用途では、PCIe 4.0以上のコストをかけるほどの恩恵は受けられないので、まさに人を選ぶパーツといえます。

でも速ければ速いほどロマンがあるぞい
PCIe 5.0のSSDならコレがおすすめ
国内で一般販売されている定番モデルの中から、予算別におすすめのPCIe 5.0 SSDを紹介します。以下をクリックして詳細をご覧ください。
KIOXIA(キオクシア)は東芝から分離独立した日本企業です。
国産らしく安定性に強みを持つ、SSDの定番メーカーです。
EXCERIA PLUS G4の速度は以下の表のとおりです。
モデル | 最大読み込み速度 | 最大書き込み速度 |
---|---|---|
1TB | 100000 MB/s | 7900 MB/s |
2TB | 100000 MB/s | 8200 MB/s |
PCIe 5.0を活かした高速読み書きが可能です。
5年保証もつき、他有名メーカーと比べてもコスパの良い製品です。
Western Digitalはアメリカの企業でストレージの定番メーカーです。
データセンターで使われるような安定性、耐久性、性能に優れる製品が特長です。
WD_BLACK SN8100の速度は以下の表のとおりです。
モデル | 最大読み込み速度 | 最大書き込み速度 |
---|---|---|
1TB | 14900 MB/s | 11000 MB/s |
2TB | 14900 MB/s | 14000 MB/s |
4TB | 14900 MB/s | 14000 MB/s |
規格上の最大速度(15.7 GB/s)に近い最大読み込み速度を実現しています。
価格は非常に高いですが、PCIe 5.0の実力を最大限引き出す性能と、十分な安定性・耐久性を両立した究極のモデルです。

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